e-Taxの違和感

  6月に税理士登録をしてから約5か月、11月中旬に第六世代の税理士用電子証明書(税理士認証カード)が届きました。
 マニュアルを見ながら電子証明書の発行手続きを行い、ようやくオンラインで税務代理業務ができる基盤が整いました。

 オンラインでの税務申告といえば、e-Tax
 個人の確定申告でも2013年から利用していましたが、年1回だけの利用では、正直ほとんど予備知識が蓄積されません。
 今回、税理士としての利用開始手続きと、納税者の電子申告開始届の代理申請を行いましたが、税理士会のFAQe-Taxのマニュアルを見ても相当難解で苦労しました。
 民間の会計システムと比べると使い勝手は大きく劣り、率直に言って扱いづらいと感じます。
 備忘も兼ねて、今回税理士として初めてe-Taxを使って感じた主な違和感を整理しておきます。

1.システムの全体構造が難解

 e-Taxの説明は「インターネット等を利用して電子的に手続ができるシステム」という程度にとどまり、構造がつかみにくいままです。
 ユーザーが触れる主な構成要素だけでも、
  ・e-Taxソフト
  ・e-Taxソフト(Web版)
  ・確定申告書等作成コーナー
 と複数あり、それぞれの違いが直感的に理解できません。
 さらに、令和6年5月に複数システム(受付システム・e-Taxソフト(WEB版)・e-Taxソフト(SP版))が統合され「e-Taxソフト(Web版)」に名称統一されたにもかかわらず、画面には「受付システムからログアウトしました。」と表示され、旧システムの痕跡が残っています。
受付システムからログアウト?

 結果、何がどう統合されたのか分からず、ユーザーを混乱させます。
 しかもこの画面「接続されているインターネットとの切断は別に行ってください。」って、今の時代ちょっと何言ってるかわかんないですね(笑)
 ・・・まさかダイヤルアップ接続時代から、ずっと変わっていない?

2.個人を識別するIDやパスワードが多すぎる

 個人を識別するためのID・パスワードが複数併存しており、理解を著しく妨げます。
   └ 利用者証明用電子証明書パスワード/署名用パスワード
 おそらく、かつてサブシステムごとに異なるキー体系で運用していたものが、統合後もデータ統合まで踏み込めていないことの表れでしょう。
 デジタル国家を掲げるのであれば、抜本的な再設計による早期の一本化が望まれます。
※整理番号は、2026年9月24日稼働予定の次世代「国税総合管理システム」(KSK2)導入により廃止予定(「東京税理士界」2025年12月1日 11頁)

3.e-Taxソフトの問題点

 アプリケーションの外観からして、かつてのWindows95時代のWin16APIを彷彿とさせる古さが漂い、起動直後から不安を覚えます。
アプリケーション外観

 実際、使ってみると以下のような問題に直面しました。
  • ウィンドウのメニューバーとウィンドウ左側に2つのメニューがあるが、それぞれで同じ機能が2か所にあるだけで無駄である。
  • ログアウトボタンはあるが、ログインがどこで行われたのか分からない。
  • ログイン時と署名時の使用カード(マイナンバーカード/税理士認証カード)が一致しないと送信エラー「HUBH278E:ログイン時と電子署名付与時に使用したマイナンバーカードまたはスマホ用電子証明書が異なります。」になる。
  • 申請後のステータスが「受付完了」となるが、単に受付だけなのか、審査まで終わったのかが不明である。ユーザーはその後何かを待つ必要があるのか、またいつまで待てばよいのかが分かず困惑する。
  • 申請書の入力画面で、任意の入力フィールドが任意と明示されておらず、判断に迷う。(経理責任者名、屋号など)
  • ユーザーが設定するパスワードの要件(桁数・文字種)が提示されず、決定後にエラーが出る。
  • 電子署名のPIN入力ウィンドウが前面にポップアップせず、気づかない。

4.e-Taxソフト(Web版)の問題点

 Web版はデザインこそ現代的ですが、画面設計に難があります。
e-Taxソフト(Web版)
  • ログイン/ログアウトを繰り返すたびにブラウザタブが増殖する。
  • ログイン方法が複数あり(マイナポータル・ICカード・利用者識別番号)、現在どの方法でログインしているかが画面上で明示されず、処理内容によって必要なログイン方法が変わるため混乱する。
  • 左側メニューにおいて、TOPとその他メニューが同じ階層に並び、全体構造が把握しづらい。
  • 「確定申告を行う」を選ぶと、即座に「国税庁 確定申告書作成コーナー」に遷移し、e-Taxソフト(Web版)に戻れなくなる。
  • e-Tax変更等届出の審査完了の通知が、オンラインのメッセージではなく「郵送」であることが明記されていない。

5.その他の共通した問題点

 個別機能だけでなく、共通仕様にも混乱を招く要素があります。
  • e-Taxソフトのメッセージボックスと、e-Taxソフト(Web版)のメッセージボックスは同一のものであるが、それぞれのデザインが全く異なるので、別のメッセージボックスであるかのように誤解する。
  • 税理士が関与先の電子申告等開始届出書を送信する方法が2通りあるが、違い・判断基準がマニュアルで明確に示されていない。
 そして最後に――
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 競争が存在しないシステムやサービスが抱えがちな課題なのかもしれませんが、利用者側の「慣れ」で吸収すべきレベルを超えており、このままでは電子申告の普及そのものを阻害してしまうのではないかという危惧もあります。
 「それにしても、もう少し何とかならないものか」。
 2026年9月稼働予定の次世代「国税総合管理システム」(KSK2)に期待をしつつ、今回感じた違和感を記しておくことにしました。

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