法人は、利益の有無にかかわらず、決算日の翌日から2か月以内に法人税等の確定申告を行う義務があります(法人税法第74条)。
これに対し、個人の所得税における確定申告は、必ずしもすべての者に義務付けられているわけではありません(所得税法第120条)。
とりわけ実務上よく問題となるのが、「年間20万円以下の副収入等」の取扱いです。
一見すると「少額だから課税されない」と理解されがちですが、実際にはいくつかの制度が重なっており、整理が必要です。
とりわけ実務上よく問題となるのが、「年間20万円以下の副収入等」の取扱いです。
一見すると「少額だから課税されない」と理解されがちですが、実際にはいくつかの制度が重なっており、整理が必要です。
1.そもそも非課税であるケース
昨今の一般的な小規模経済活動としては、フリーマーケットやネットを通じた個人間売買があります。この場合、衣服や家具などの「生活用動産」の譲渡による所得は非課税となっています。したがって、通常の不用品の売却であれば、原則として課税関係は生じません。
ただし、同じ動産であっても、自分が使用したものではなく、大量に新品を仕入れて販売するようなケースでは、「生活用動産」には該当せず、雑所得や事業所得として課税対象となります。
また、日常生活の中で少額の金銭を受け取ることがあります。
この場合、何らかのお祝い等でもらった金銭は、年間110万円以下であれば贈与税の非課税の範囲内となります。
一方で、掃除の手伝いなど何らかの役務提供の対価として受け取った謝礼は、雑所得の対象となります。
つまり、「対価性の有無」によって、贈与税と所得税という異なる課税体系に分かれることになります。
2.所得税の申告が不要となるケース
年末調整が済んでいる給与所得者で、副収入等が20万円以下であれば確定申告は不要です。また、公的年金等の収入金額が400万円以下で、副収入等が20万円以下である場合も同様です。
これらの取扱いは、国による徴税業務の効率化という側面があります。
ただし重要なのは、この「20万円基準」は非課税ではなく、あくまで申告義務の免除にすぎないという点です。
したがって、医療費控除や住宅ローン控除(1年目)など、年末調整の対象とならない控除を受けるために確定申告を行う場合には、20万円以下の僅少な所得もすべて含めて申告する必要があります。
言い換えれば、「申告しないことが許されている場合」と「申告する以上はすべて申告しなければならない」という点は区別して考える必要があります。
3.住民税の申告が不要となるケース
所得税で確定申告が不要であっても、住民税については別の取扱いとなる点に注意が必要です。住民税についても、一定の場合には申告が不要とされることがありますが、これは所得税の20万円基準のように申告義務そのものを免除する制度というよりは、給与支払報告書や年金の源泉徴収票、確定申告などにより行政側で所得情報が把握されていることを前提に、手続の重複を避けているものと理解する方が適切です。
そのため、所得税では申告不要とされる20万円以下の所得であっても、住民税では別途申告が必要となる点には注意が必要です。
なお、無収入(所得ゼロ)であっても、住民税の申告は行うことが推奨されます。
理由は、住民税の申告をしないと、その人自身が不利益を被る可能性があるためです。
例えば、自治体は国民健康保険料の算定や各種行政サービス(保育料・医療費助成など)の判定において所得情報を把握する必要があります。申告をしない場合、「所得不明」として扱われ、軽減判定が受けられない可能性があります。
4.まとめ
以上を整理すると、次のようになります。- 生活用動産の譲渡など、そもそも非課税となる所得がある
- 20万円以下の副収入は非課税ではなく、一定の場合に確定申告が不要となるにすぎない
- 確定申告を行う場合には、少額所得も含めて申告が必要
- 住民税は所得税とは別の仕組みであり、申告の要否に注意が必要
例えば、
- 非居住者で国内所得がない
- 無収入(所得ゼロ)で、かつ行政サービスとの接点がない
また、金融資産による収入(源泉分離課税)のみで生活している場合であっても、金融機関による源泉徴収を通じて一定の把握はなされています。
昨今の給付付税額控除制度の議論において、「国税庁は低所得者の情報を把握していないため実現が難しい」との指摘があります。
それはそれとして、住民税申告を受けている地方自治体や金融機関との情報連携を前提とすれば、実現の可能性はあるようにも思われます。

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