除斥って何?


  税金の時効期間について調べていたところ、「除斥期間」という言葉を目にしました。
 意味を調べると、「除斥期間」とは、法律関係を速やかに確定させるため、一定期間が経過すると権利の行使が認められなくなる制度とのことです。
 説明自体は理解できたのですが、今度はそもそも「除斥って何だろう?」という疑問が湧きました。
 調べてみると、「除斥」とは「取り除くこと」「除外すること」という意味でした。
 ところが、ここでさらに別の疑問が湧いてきました。
 「除斥期間」という言葉は、日本語として少し不自然ではないだろうか。

 「履行期間」は履行する期間、「存続期間」は存続する期間、「保護期間」は保護される期間です。いずれも、前の言葉がその期間中の状態や行為を表しています。
 一方、「除斥期間」は、期間中に除斥されるわけではありません。期間が過ぎると除斥されるのです。つまり、「除斥」はその期間後に起こる出来事です。
 そう考えると、「除斥期間」は「除斥(になるまでの)期間」と理解するのが一番しっくりきました。
 考えてみれば、「時効期間」も同じです。「時効(になるまでの)期間」が省略されているのでしょう。
 今回の違和感は、「履行期間」や「存続期間」のように期間中の状態を表す法律用語と、「時効期間」や「除斥期間」のように期間満了後の法的効果を表す法律用語とでは、命名の仕方が異なることに気付いたからなのだと思います。

 私は税理士試験で国税徴収法の科目に合格しています。試験勉強では「時効」という用語は何度も出てきましたが、「除斥」という言葉を意識した記憶はありません。
 そこで調べてみると、国税通則法の条文には「除斥」という用語は使われておらず、「○年を経過した日以後は、更正又は決定をすることができない」という形で規定されているだけでした。
 つまり、「除斥期間」という用語は、条文そのものではなく、学説や実務で用いられているものだったのです。
 これで、税理士試験の予備校が「除斥期間」という概念まであえて教えなかった理由も納得できました。試験では、何年以内に更正や決定ができるのかという条文の内容を正確に理解し、適用できることが重要だからです。
 一方で、今回調べる中で、民法では「時効」と「除斥期間」という二つの制度を区別すること自体が重要な論点になることも知りました。同じ法律でも、学ぶ目的によって、制度の適用を重視するのか、それとも制度の概念や性質まで掘り下げるのかが異なることを実感しました。

 今回あらためて感じたのは、「何となく違和感がある」という感覚は、案外大切だということです。
 最初は「除斥って何?」という素朴な疑問でしたが、調べていくうちに、言葉の意味だけでなく、法律用語の命名の仕方や、自分が税理士試験で「除斥期間」という概念をほとんど意識することがなかった理由まで理解することができました。
 これからも、何かを調べる中で感じた小さな違和感を見過ごさず、「なぜだろう」と立ち止まることを大切にしていきたいと思います。その違和感の理由を一つひとつ調べていくことが、制度をより深く理解することにつながるような気がしています。

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